第3話
俺の自宅の最寄り駅である京葉線の海浜幕張から寿美子の住む都営地下鉄浅草線の泉岳寺までは1時間程度である。自宅を出るころはまだ太陽も出ておらず、朝と言うには暗すぎたが、地下鉄を降りて地上に上がった時は、すっかり明るくなっていた。俺は先ずメールをチェックした。ここに来るまで、駅に止まる度にメール問い合わせをしてきたが、やはり最後まで寿美子からメールが来ることはなかった。留守番電話サービスにも問い合わせてみたが録音はなかった。次に寿美子の携帯に電話を掛けた。
呼び出し音が鳴った。
『もしもし。』
寿美子が出た。
『寿美子、どこにいるの?』
俺は尋ねた。
『うちだよ。』
『どこ行ってたの?』
『みいちゃんの友だちのご両親のお宅にクリスマスパーティー誘われたから行くって言ってたじゃん。』
みいちゃんとは、娘の美和のことである。
『泊まったわけ?』
『うん。』
『なんで?』
『酔っぱらっちゃってさあ、気がついたら布団で寝てたよ。』
『みいちゃんも?』
『みいちゃんも泊まったよ。』
『6時くらいに寿美子んち電話したら、みいちゃんしかいなかったよ。』
『私、帰ってきてからセブンイレブン行ってたんだよ。』
俺にそう言ったと娘から情報が伝わっているのだろう。
『なんで帰ってから、わざわざ買い物に出るの?』
『買い忘れてたものがあったから。』
『泊まったのになんでそんなに早く帰って来る訳?』
『あんまり長居して迷惑掛けたくなかったんだよ。朝ご飯まではご馳走になりたくなくて。』
『5時とかに起きて出てくる方が、よっぽど迷惑じゃん。』
『あちらのお母さんは起きてたよ。』
『なんでメールも電話もよこさなかったの?』
『メール入ってるのに気が付かなかったよ。』
『いつまで?』
『さっきまで。』
『なんでさっきから今まで、何も連絡よこさなかったの?』
『今しようと思ってたんだよ。』
『なんで夕べ1回、電話がつながった時、すぐ切ったの?』
『近くにあちらのご両親がいたからだよ。』
『なんで電源切ったの?』
『あそこじゃ拓磨と話せないからだよ。』
『みいちゃんに連絡するように頼んでおいたのに、なんで直ぐにメールくれなかったの?』
『ごめん。』
『なんで嘘つくの?』
『嘘なんてついてないよ。』
『全部嘘じゃん。』
『ほんとだって。』
『パーティーに行ったのはみいちゃんだけじゃないの?みいちゃんは一人で夜中に帰って来たけど、寿美子は別行動だったんじゃないの?寿美子は朝帰りしたんでしょ。ご丁寧にみいちゃんに口裏合わせさせて。』
『そんなことないよ。ずっとみいちゃんと一緒だったよ。』
『ほんとのこと言いなよ。』
『言ってるって。』
『ほんとのこと言ったら別れてあげるよ。』
『ほんとのこと言ってるし、別れたくもないよ。』
『なんで?しょっちゅう別れたいって言ってたじゃん。結婚相手見つけたいんじゃないの?』
『今は拓磨と別れたくないよ。』
『なんで?』
『別れたくないから。』
『じゃあ、なんで浮気するの?』
『してないって。』
『今、泉岳寺にいるんだけど。』
『なんで?』
『浮気の現場を押さえるため。』
『じゃあ、疑いが晴れたからいいじゃん。』
『決定的な証拠がないのと寿美子が自白しないだけで、晴れたわけじゃないよ。』
『まだ疑ってるの?』
『疑ってるよ。なんで二股かけるか解んない。』
『二股なんてかけてないよ。どうしたら信じてくれるの?』
『じゃあ、今すぐ来て。』
『解った。みいちゃんにご飯食べさせたら行くよ。』
『まだ食べさせてないの?今8時だよ。少なくとも6時前には帰ってるのに、今まで何してたの?』
『寝てた。』
『セブンイレブンから帰ってきてから直ぐ寝たの?』
『うん。』
『みいちゃんも?』
『うん。』
『嘘ばっか。』
『嘘じゃないって。』
『じゃあ、早く来てよ。』
『解った。』
『今日は一緒にいられるの?』
『それが午後からクルーザー乗りに行くことになったんだよ。』
『はあ?クルーザー?』
『そう。きのう行ったとこのご夫妻のお友達が持ってて、今日乗りに行くんだけど、ほかに友達連れて来てもいいって言われてるから一緒に行こうって誘われたの。』
『それ、二股の彼氏に誘われたんじゃないの?』
『違うよ。』
『何時から?』
『11時に新橋集合なんだ。』
『朝の?』
『そう。』
『みいちゃんは?』
『勉強があるから行かない。』
『そっちの家族とのパイプ役はみいちゃんじゃないの?本人抜きっておかしくない?』
『そんなことないよ。前から家族ぐるみで親しくしてたんだよ。』
『とにかくザネッティで待ってるから。何時に来れる?』
『9時くらいかなあ。』
『じゃあ、あとでね。』
『うん。』
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呼び出し音が鳴った。
『もしもし。』
寿美子が出た。
『寿美子、どこにいるの?』
俺は尋ねた。
『うちだよ。』
『どこ行ってたの?』
『みいちゃんの友だちのご両親のお宅にクリスマスパーティー誘われたから行くって言ってたじゃん。』
みいちゃんとは、娘の美和のことである。
『泊まったわけ?』
『うん。』
『なんで?』
『酔っぱらっちゃってさあ、気がついたら布団で寝てたよ。』
『みいちゃんも?』
『みいちゃんも泊まったよ。』
『6時くらいに寿美子んち電話したら、みいちゃんしかいなかったよ。』
『私、帰ってきてからセブンイレブン行ってたんだよ。』
俺にそう言ったと娘から情報が伝わっているのだろう。
『なんで帰ってから、わざわざ買い物に出るの?』
『買い忘れてたものがあったから。』
『泊まったのになんでそんなに早く帰って来る訳?』
『あんまり長居して迷惑掛けたくなかったんだよ。朝ご飯まではご馳走になりたくなくて。』
『5時とかに起きて出てくる方が、よっぽど迷惑じゃん。』
『あちらのお母さんは起きてたよ。』
『なんでメールも電話もよこさなかったの?』
『メール入ってるのに気が付かなかったよ。』
『いつまで?』
『さっきまで。』
『なんでさっきから今まで、何も連絡よこさなかったの?』
『今しようと思ってたんだよ。』
『なんで夕べ1回、電話がつながった時、すぐ切ったの?』
『近くにあちらのご両親がいたからだよ。』
『なんで電源切ったの?』
『あそこじゃ拓磨と話せないからだよ。』
『みいちゃんに連絡するように頼んでおいたのに、なんで直ぐにメールくれなかったの?』
『ごめん。』
『なんで嘘つくの?』
『嘘なんてついてないよ。』
『全部嘘じゃん。』
『ほんとだって。』
『パーティーに行ったのはみいちゃんだけじゃないの?みいちゃんは一人で夜中に帰って来たけど、寿美子は別行動だったんじゃないの?寿美子は朝帰りしたんでしょ。ご丁寧にみいちゃんに口裏合わせさせて。』
『そんなことないよ。ずっとみいちゃんと一緒だったよ。』
『ほんとのこと言いなよ。』
『言ってるって。』
『ほんとのこと言ったら別れてあげるよ。』
『ほんとのこと言ってるし、別れたくもないよ。』
『なんで?しょっちゅう別れたいって言ってたじゃん。結婚相手見つけたいんじゃないの?』
『今は拓磨と別れたくないよ。』
『なんで?』
『別れたくないから。』
『じゃあ、なんで浮気するの?』
『してないって。』
『今、泉岳寺にいるんだけど。』
『なんで?』
『浮気の現場を押さえるため。』
『じゃあ、疑いが晴れたからいいじゃん。』
『決定的な証拠がないのと寿美子が自白しないだけで、晴れたわけじゃないよ。』
『まだ疑ってるの?』
『疑ってるよ。なんで二股かけるか解んない。』
『二股なんてかけてないよ。どうしたら信じてくれるの?』
『じゃあ、今すぐ来て。』
『解った。みいちゃんにご飯食べさせたら行くよ。』
『まだ食べさせてないの?今8時だよ。少なくとも6時前には帰ってるのに、今まで何してたの?』
『寝てた。』
『セブンイレブンから帰ってきてから直ぐ寝たの?』
『うん。』
『みいちゃんも?』
『うん。』
『嘘ばっか。』
『嘘じゃないって。』
『じゃあ、早く来てよ。』
『解った。』
『今日は一緒にいられるの?』
『それが午後からクルーザー乗りに行くことになったんだよ。』
『はあ?クルーザー?』
『そう。きのう行ったとこのご夫妻のお友達が持ってて、今日乗りに行くんだけど、ほかに友達連れて来てもいいって言われてるから一緒に行こうって誘われたの。』
『それ、二股の彼氏に誘われたんじゃないの?』
『違うよ。』
『何時から?』
『11時に新橋集合なんだ。』
『朝の?』
『そう。』
『みいちゃんは?』
『勉強があるから行かない。』
『そっちの家族とのパイプ役はみいちゃんじゃないの?本人抜きっておかしくない?』
『そんなことないよ。前から家族ぐるみで親しくしてたんだよ。』
『とにかくザネッティで待ってるから。何時に来れる?』
『9時くらいかなあ。』
『じゃあ、あとでね。』
『うん。』
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